2014年、キルギス、カザフスタン、中国の計33件の遺跡が「シルクロード:長安-天山回廊の交易路網」として世界遺産に登録されました。キルギスのトクモク近郊にある《バラサグン(ブラナの塔)》と《アク・ベシム》もその中に含まれています。
草原の真ん中にぽつんとたたずむブラナの塔は、ビシュケクから約60キロのトクモクにあります。11世紀初めにつくられたレンガ造りの塔は、もともと45メートルありましたが、地震によって崩壊し、現在は24メートルの高さまで残っています。塔の上に上がれば、山並みや草原、草を食む羊たちの群れを見渡すことができます。
塔のそばにはキルギス全土から集められたバルバル(石人)が展示されています。墓標であると言われるバルバルは、盃を持ち、表情は大変豊かで、親近感を覚えます。
塔の周囲には、町の遺構や墳墓の跡があり、この一帯はカラハン朝の都・バラサグンであったと見られています。10世紀から13世紀にかけて栄えたカラハン朝は、中央アジアにおけるテュルク系最初のイスラーム王朝です。テュルク・イスラム文化が花開き、この地で生まれたユースフ・ハース・ハージブは現存するテュルク系言語による最古の書である「クタドゥグ・ビリグ(幸福になるための智恵)」を著しました。
いまはのんびりとした景色が広がるこの場所は、千年前は中央ユーラシアの中心地であったのです。
ブラナの塔から6キロほどの地点に《アク・ベシム遺跡》があります。6世紀にソグド人によってつくられたこの町は、交易路の交わる場所にあり、東西交流の中心的な役割を果たしていました。仏教寺院の遺跡や城壁が残されています。
玄奘三蔵はそのインドまでの旅の途中、イシククル湖を通って、唐代には破葉城(スイアブ)と呼ばれたこの地を訪れた際の様子を「大唐西域記」に記しています。また詩人・李白がこの地で生まれたとの説もあります。
ブラナの塔 – マップ
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